毒と薬と無知の鞭。
大阪から来た人が、
「漕いでいると音がして、時々とても漕ぐのが重くなる」という。
では拝見、と覗いたところ、
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脱腸?
BBのカップが精一杯緩んでる、しかも左右ともとは。
こんななるまで放っておいてはイカンよ~、
早期発見早期治療。
が、見た感じ結構新しそうで、どうやら現段階でそれなりに「早期」らしい。
オーナーに聞くと、やはりそう乗り込んでる訳でも無いそうで、
まぁ要するに、元々締まるべきモノが締まっとらんかったという単純なお話。
買ったお店に持って行けば、ロハ、乃至は格安で直してくれるでしょう。
もし、自分の納めた自転車が、何処かでこんな事になっているとするなら・・・、
とても尻の据わりが悪い、もぞもぞしちゃう。
なので通販はとても出来ない、通販怖い。
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「通販業者は悪だから買っちゃぁいけねぇよ!」なんて話では全く有りません。
ただ、通販で安く買う時、削られた値引き代は、
その業者の取り分、つまり労働対価だと言う事は確かで、
それを値切ると言う事は、その業者の労働を値切ると言う事なのです。
こんな話がありました。
ある自転車業者が、中国の工場に格安の自転車を製作依頼した時の事。
その業者は今の流通価格よりも、より安いモノを作れば、
今よりも更に売れる、といたってシンプルに企画し、
工場にかなり無理な予算で注文しました。
で、完成し、納品された。
しかし、箱を開け、業者がその自転車を見てみると・・・ハブ軸が全く回らない。
勿論、業者は文句を言います。「責任者出てこーい!」
対応した責任者は一言、
「あんた、あの予算で普通に走る自転車が出来ると思ってんの?」と。
同じ様に、安売りで有名な業者に、通販で来た注文、
顔を見た事も無い、今後会う事も無い、自分の利益は少ない、
その状態で、キッチリした仕事しろって言われても・・・走るしええやん?てね。
キッチリした仕事って漠然とし過ぎてて、そんなもん正体は無いんですよ。
モノは注文貰ったモノなんだから、問題無いでしょう?
安く買って得したじゃないですか、と言われてしまうと・・・、
消費者保護の御時世ですが、まぁお互い様、狸と狐な感じもします。
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キッチリした仕事って何でしょう?
完璧に設計意図通りの組み立て。そうですね、それなら問題無いかも。
でも、そもそも製品自体が設計通りに行っているとは限らず、
そのズレをも考慮し、使う人に合わせてよりよく「活かす」、
そんな曖昧模糊としたのが実は「キッチリ」なのかもしれません。
私なんてのも、超三流メカニックですから、いつ失敗するか分かりません。
先日も、隣の隣の県に納めたユーザーさんから、調子が悪いとの連絡を頂き、
取り合えず見てみな判断も修理もクソもないという事で、
翌日、工具と、話から予想される必要な部品をカバンに詰め込み、
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早朝出張修理by新幹線。
トリッキーなモノを、手の届かない場所に納め、
ユーザーを困らしたのは誰か?勿論自分。
新幹線代が勉強代。
けっして裕福とは言えない生活ですから、痛いと言えば痛い鞭。
こんな事例を鑑みるに、恐ろしくてとても通販なんてやってられませんわ。
通販でしか買えないモノ、買えない事ってあります。
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見た事ないモノ、近所では手に入らないモノ、色々ありますし、
その距離を埋めてくれる通販と言うのは非常に便利なモノに違い有りません。
ウチも石垣島や長野の山中、父島など、自転車を購入するのさえ困難な場所に、
お客さんが居られ、その人等とは通販で結ばれている訳です。
しかし通販とは、諸刃の剣で、気を付けて扱わないと時に猛毒にもなり得る、
そんな事を知らない、というより知らない事にして、
とにかく目先の安さだけで通販ってのは・・・やはりマズイなぁ、と。
それも趣味の事なら尚更。
「自転車の値段」ってのは、自転車本体の価値だけではなく、
「その自転車が持つ能力、それを享受できる権利」も含めた値段だと思います。
なので、通販で買うと言う事は、その権利を放棄する事に他ならない。
で、代わりに「値引き」という対価を得る、と。
コレが安売り通販。
だから、もしアナタが自転車を弄るのが好きで、それなりに何でも自分でやる、
と言うのであれば、どんどん通販を利用して、安価に購入して下さい。
ただ、そうでないなら、通販には「命綱」の無いという事を知って、
その危険と値引きを天秤に掛け、考慮して下さい。
例え安く買えたとしても、アナタの手元に残るのは、
その自転車の魅力を享受させてくれる可能性を持った、
ただの抜け殻になるかもしれないのだから。